入口はいつでも開いている [日々戯言]
※ちなみに画像は内容と全く関係なく、2009年サイクルモードで試乗するジュノン。
数日前の午後の話。
ベランダで洗濯物を取り込んでいたら、下の小さな公園の光景がちょっと気になった。
そこに居たのは小学校高学年と思われる男の子と、そのお祖父さんらしき人。どうやら男の子は自転車の練習をしているらしい。自転車はピカピカ。おそらく26インチのCTBだろう。身長から言えば、ギリギリ跨げるかな?といったサイズ。乗り馴れてる子なら、多少慣れれば乗ってしまうぐらいな感じ。
だけど、これから初めて乗るには、この大きさは相当キツかったのだろう。何度も跨がっては倒れ、また跨がっては倒れて下敷きになって痛がっている。お祖父さんが後ドロヨケあたりを支えて押している(昔は一般的な補助輪外しのやり方だった)けど、支えられて直立してるが故にフラフラするのと、どういう訳か、お祖父さんがどんどん縁石の方に押してしまうので、却って縁石にタイヤを摺ってコントロール不能になってまた転倒。それでも男の子は飽きる様子も無く、何度も何度も跨がっている。倒れた自転車を気にして「これ、壊れない?」なんて健気に言っている。
このやり方を繰り返しても、なかなか上手くならないどころか、怪我させてしまいそうだ。
こんなに根性のある子なのに、自転車嫌いになってしまうかもしれない。
ああ、もう気になって洗濯物どころじゃない。
余計なお節介とは分かりつつ、工具持って公園に行って、練習のお手伝いをしましょうか、と声をかけてみる。案の定、お祖父さんには相当胡散臭気に「何かありましたか?」と言われてしまったけど、男の子は興味津々な様子。
まず自転車を見せて貰う。残念ながら、これ以上サドルもハンドルも下げられない。
でも、ブレーキの開きはまだ調整可能だ。無理なく握れる開き幅に調整してから、練習スタート。
最近の補助輪外しは、足をべったりつけるぐらいの高さにサドルを調節し、両足で漕ぐ練習をする。その間に、ブレーキをかけて止まる事、視線を前に、曲がる時は曲がる方向を見る事を練習する。ある程度両足を離せるようになったら、その勢いで、ペダルを漕いでみる、といった流れ。
昔やっていたような、補助輪を片方だけ外す、後ろから支える、といった方法だと、いつまでも支えられるのに頼ってしまう事もある。支えられているから、倒れずに走れる訳じゃない。倒れる力よりも、前に進む力が上回っている時、真直ぐ走る事が出来る。それを身体で覚えるというやり方。
さすが小学生だけあって、こちらの言った事をすんなり理解してくれるのが助かる。
(なかなか言っている通りに出来ない幼児には、ペダルを外す方法もある。この為、簡単にペダルが外せる幼児用自転車も有る)自転車が身体に対しては大き過ぎるのと、まだ取り回しに慣れていないのがあって、やっぱり何度も転倒するけど、とっても根性がある。倒れた自転車を全力で起こしてゼイゼイ息を切らせているのに、一向に飽きる様子は無く「次は?次は?」と聞いてくる。
暫くして、近所の親子連れが数組、自転車に乗ってやってきた。ジュノンの同級生も居る。
この子よりも小さい子たちが、スイスイと自転車に乗って走っている。彼の顔が、ちょっと曇った。
悔しいだろう。分かる分かる、その気持ち。
自転車に乗れない子供って、いつも置いてきぼり。ホント辛いんだから。
ワタシだって、まともに乗れるようになったのはホンの6年程前の、相当に遅すぎた自転車乗りだから。キミならまだ十分に上達が早い。恥ずかしい事は何一つ無い。
出来るなら、なんとか、今日中に乗れるようにしてあげたい。
ああ、そういえば、と思いだした。ジュノンの自転車を貸せばいいんだ。
彼の自転車は22インチだから、この26インチに比べると相当小さい。サドルも多少上げてあるけど、この子には低過ぎるぐらいだ。早速持って来て跨がってもらう。予想通り、このぐらいの大きさなら、倒れてもさほど辛くなく起こせるようだ。
ジュノンの自転車で、また足で漕ぐのをやってもらう。最初はなかなかブレーキに手をかけられなかったり、視線が下をウロウロしてたりだったけど、いつのまにか、必ずブレーキを握り、目線を真直ぐ向ける事が出来ている。下り坂で少し足を離して乗れるようになったので、その勢いでペダルを漕ぐよう練習して貰う。ペダルに足を乗せるタイミングが、ちょっと難しそうだったが。。
結果、下り坂で3漕ぎ程漕ぐ事が出来た。もう少し練習すれば、問題無く乗れるようになるだろう。
あたりが暗くなって、お祖父さんがもう帰ろうと言ったので、帰ることになったけど。。
乗れた!乗れた!と、彼はとても喜んでいた。
自転車がかなり大きいので、問題無く走れるレベルに達するには、今のところ、ちょっと難しいかもしれない。
でも、もしまた会えたなら、いつでもジュノンの自転車は貸すよ。君の根性があれば、もう何も怖い物は無い。自転車乗りの入口は、いつでも開いている。遅い早いなど無いんだから。
2010-11-13 23:18
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